留学について② 〜留学の準備〜

1.  出願手続きや入試の内容はどのようなものでしたか?

 

ウィーン市立芸術大学のピアノ科の入試は、年に2回(2月入試 / 4月入学・6月入試  / 9月入学)あります。私は6月(2011年)に入試を受けました。

学校のホームページに掲載されている学生募集内容から提出書類を確認し、日本にいる間から準備をしました。

入学願書の提出方法については、現地に着いてから直接学生課に提出しに行きました。

以前Barth先生にお手紙を書いたところ、ボロボロの状態で自宅に戻ってきたことがあったためです。

大事な入試ですから、不備があったり、行き違いで締め切りに間に合わなかったということがないように確実な方法をとりました。

入試日や演奏順番については、大学の掲示板で確認しました。

2011年受験当時の大学院の課題曲は、バッハの作品、エチュード、古典派のソナタ全楽章、ロマン派の作品、近現代の作品だったと思います。

2020年現在は1次試験と2次試験に分かれており、より多くの曲を準備する必要があるようですので、受験の際は確認が必要です。

 

試験当日は、日本で受ける一般的な入試より和やかな雰囲気で進められました。会場に入ると、主任の先生から「Hallo! Frau Kashida!」と声をかけられ、緊張しながらも挨拶したことを今でも覚えています。

それから舞台へ上がり、椅子に腰かけると、曲の演奏箇所を口頭で指定されました。

私はショパンのエチュードよりOp.25-12、バッハの平均律2巻の9番、ベートーヴェンのソナタ31番の3、4楽章、ショパンの幻想曲を弾きました。

2.  どのような入試対策をしましたか?

 

特に対策をとったわけではありませんが、入試の約1ヶ月前には現地に着いて、入試当日までにBarth先生のレッスンを2回受け、門下生のコンサートに一度出演させていただきました。

現地に住む大学時代の友人に生活の諸々を相談したりもしましたが、それ以外は練習に励む日々を過ごしました。

始めはアパートに置いてあったグランドピアノで練習していましたが、楽器の状態が悪かったため、練習室を借りて毎日通うことにしました。

日本から持ってきた楽譜には先生方から教えていただいた注意書きがたくさん。。それを一つ一つじっくり読み返して、時には録音を撮ったり、友人と弾き合いをしたりしながら、入試までの日々を過ごしました。

 

そんな日々が功を奏したのか、受験当日は納得のいく演奏をすることができ、先生からは「君の演奏は成功だったよ」と言っていただきました。

その時大学院に合格したのは4人。東洋人は私一人でした。

 

ドイツ語に関しては、合格した場合、入学日までにA2レベルのオーストリア政府公認ドイツ語能力試験(ÖSD)に合格する必要があります。また、入学後1年以内にB1の試験に合格しなければ退学になります。(2011年当時)

3.  語学の学習法は?

 

高校から第2外国語としてドイツ語の授業を受けていました。大学時代には大手の語学学校へ1年間通っていたこともありましたが、大学院のある富山にいた頃にはすっかり忘れている始末でした。

ウィーン市立芸術音大の合格が決まり、再びウィーンへ戻ってからは、友人から評判の良かった語学学校の平日コースに通いました。

私にはこの語学学校が合っていたのか、まるで公文式のような基礎的な問題のプリントを大量にこなしたこと、会話の練習を多く積めたことで、ようやく基礎を身に付けることができました。

大学の授業が始まってからは週2回のペースで通い続けましたが、夏休みには毎日通っていました。

 

語学学校には様々な国籍の方がいて、ウィーンに来た目的も千差万別でした。夫の転勤でウィーンに滞在中のアメリカ人や将来ドイツ方面で働きたいと希望していた医学生のスペイン人、ウィーンに駐在中のフランス人など。。

また、授業ではグループで物語を考えて発表したり、クラス全員でディベートをすることもありました。その中でそれぞれの国の文化や考えが垣間見える時があり、色々な価値観に触れることができたことは大変有意義でした。

この語学学校で出会った友人と、放課後にカフェへ行ったり、休日には遊びに出かけたりしたことで、ドイツ語を話す機会が増え、異国の地でも意思疎通に困らずに過ごせたのだと思います。

何より、国が違っても、話し合うことで心を通わすことができたことが嬉しかったです。

語学学校で仲良くなった友人とNaschmarkt (市場)へ。
語学学校で仲良くなった友人とNaschmarkt (市場)へ。

 

私はドイツ語で書かなければならない卒業論文を控えていたため、在学中も通い続けていましたが、可能な範囲で現地の語学学校へ通うことが得策かもしれません。

 

 

 

 

 

 

留学について③ 〜留学生活〜へ続きます。