留学について③ 〜留学生活〜

1.  現地の生活はどうでしたか?

私はウィーンに約2年半滞在していました。

ウィーンに住み始めて最初の数ヶ月は滞在許可証の取得、インターネットの契約、生活に必要な電化製品の購入など、生活の基盤を整えることで過ぎていきました。

 

また、ウィーンは日本に比べて春と秋が短く、長い夏と冬が訪れます。

冬は非常に寒く、その上日照時間が短いので、初めて迎えた1年目の冬には、寂寥感に苛まれたこともありました。

 

始めのうちは現地の生活に溶け込もうと、色々な事に積極的に取り組んでいました。

しかし、日本との気候の違いや現地生活のストレスからか、留学して1年経った頃に体調を崩してしまいました。

日本語が話せる現地の医師に漢方を処方していただき、まずは食生活の改善から心がけました。

それまでは現地の習慣に倣い、パンやパスタが中心の食生活でしたが、日本の食材屋で炊飯器を購入し、和食中心の食生活に戻しました。

あまり肩肘張らずに、自分のペースを大切にしながら過ごせるようになったのは、その頃からだったと思います。

車道を通る馬車。住んでいたアパートの近くでも見かけられた日常的な光景。
車道を通る馬車。住んでいたアパートの近くでも見かけられた日常的な光景。

日本へ完全帰国するまでの残りの1年半は、卒業試験の準備と卒業論文に追われる日々でしたが、その中でも語学学校や大学で出会った友人と遊びに出かけたり、オペラ座や楽友協会のコンサートへ行ったりと充実した留学生活を送ることができました。

 

ウィーンのコンサート会場の中には立ち見席が設けられているところもあり、オペラ座は3ユーロ、楽友協会は10ユーロでチケットを買うことができます。

公演内容を確認して、著名な演奏家をみつけては足繁くコンサートへ出かけていました。

ピアニストでいえば、アルゲリッチ、バレンボイム、キーシン、ランラン、パドゥラ・スコダ、ポリーニなど。。沢山の名演を生で聴くことができました。

 

始めの頃は「良い演奏とは何だろう」、「どうしたら演奏家のような素晴らしい音色を出せるのだろう」と良い演奏をする事ばかりに着目して聴いていましたが、数々の一流演奏家の音楽を聴くうちに、改めて音楽の素晴らしさを再認識し、音楽の意義や価値、自分にとって大切な事を見出だすことができた気がします。

 

ウィーン国立歌劇場の前で。
ウィーン国立歌劇場の前で。

2. 大学生活はどうでしたか?

卒業試験終了後に、Barth先生と。
卒業試験終了後に、Barth先生と。

学校の授業は必修科目と選択科目があり、演奏法や伴奏法、即興の授業、楽器の構造を学ぶ授業、ボディーワークなど、興味深いものが沢山ありました。

 

実技レッスンにおいては、Barth先生が週1回2時間みっちり指導をしてくださり、非常に有り難かったです。

毎回長い時間みていただくので、常に多くのレパートリーを持っていなければならず大変でしたが、その分多くの曲をこなす力がついたと思います。

室内楽の単位も半期ごとに取らなければならなかったので、じっくりと勉強することができました。特に室内楽の演奏において大切なペダリングについて、細かく指導していただけたことが大変勉強になりました。

 

学校のホール等で開催されるクラスコンサートは3ヶ月に1度位のペースで行われていました。

地元のお客さんも気軽に聴けるコンサートで、聴いてくださった方から声をかけていただいたこともあり、嬉しかった事を覚えています。

 

レッスンも本番も多くあり、演奏力を高めたい学生には最適な環境だったと思います。

 

学費は、2011年当時、半年で550ユーロでしたが、現在は1000ユーロとなっています。

日本と比較すると非常に安いです。ヨーロッパの学生の授業料はより安かったと思います。

ウィーン市立芸術音大に通いながら、別の大学の学部(工学部や法学部など)にも通う学生も見受けられました。

 

 

 

留学について④〜留学を終えて〜へ続きます。