1. 留学生活で得たことは?
私はウィーンでの留学を通して、物質主義ではない豊かな暮らし方を知り、目に見えないものの大切さに気づかされました。
ウィーンは小さな街ですが、歴史ある演奏会場や建造物が多く、芸術・文化を常に身近に感じられる場所です。荘厳な建造物に心をときめかせたり、美しい音楽に浸ったり、美味しい食事を味わったりと、自然に感性が磨かれる機会が多くあるように思います。
また、ウィーンから電車で少し足を延ばせば、そこかしこに豊かな自然が広がっています。地元の人々の中には郊外へハイキングに出かける人も多いようです。私も電車で郊外へ出かけた際は、車窓から見えた野うさぎや牛にほっこりした気持ちになりました。
ウィーンの日曜日には多くの店が閉まってしまいます。始めこそ不便に思いましたが、住み慣れるうちにその良さに気がつきました。日曜日が休みとなれば少し体を休めたり、家族や友人と過ごす時間を多くとることができます。
日々の課題に追われていたとしても、休日には家族や友人との時間を大切にし、芸術や文化、自然に触れることで心と体の調和がとれ、物に頼りすぎない心豊かな暮らしが送れるのではと考えさせられました。
留学生活も終盤に差し掛かる頃、世界的なヴァイオリニストであるカヴァコスの演奏を聴き、ただただその音楽が美しいと感じたことがありました。
目に見えないものだけれど、極上に美しかった。
目に見えないものは可視化できません。心で感じることができなければ、ないがしろになってしまいますが、私にとっては大切にしたい事だということをその時に強く感じました。
それは今でも自分の考えの軸となっています。
2. 留学を終えて
私は子どもの頃からピアニストになりたいと願いながら、音楽の勉強を続けてきました。
しかし、学生の立場で演奏活動を行っている時、よく感じていたのは孤独感でした。
ピアノは基本的に一人で演奏し、一人で舞台に立ちます。一人で黙々と練習を続けるうちに、人と接する仕事を主にしたいと思うようになりました。
それが、帰国後から続けている室内楽・伴奏の仕事であり、ピアノのレッスンです。
アンサンブルでは、共演者と一緒に演奏する喜びを味わうことができますし、ピアノのレッスンでは幅広い世代の生徒さんと音楽に取り組むことが大変楽しいです。
今後も、演奏活動やレッスンを通して、留学で学んだ事も含めて、これまで先生方から教わったことを真摯に伝え、音楽を専門に学ぶ方や音楽愛好家のお手伝いができたら光栄に思います。
ウィーン留学体験記を4回にわたって書かさせていただきました。
これから留学を検討される方の手がかりになるようなことが少しでもあれば幸いです!
当教室では、留学を検討する方も応援いたします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました♪